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朝起きて、見慣れた天井を眺めながら思考が巡って去っていく。
今日は火曜日だから燃えるゴミの日だな、からだを起こして視界がゆらゆら戻ってくる。
散らかった寝室が心底わたしを怠くさせる。絡まる髪の毛に嫌気がさす。

昨夜について考える。ただし過ぎたことに興味を持つべきではない。いつもいつも自分自身を過去に縛り付けて苦しんできた。考えるだけならそれほどダメージは無い。わたしはとにかく今以上に傷つきたくはない。傷つきたくないし、傷つけることもしたくない。ひとりでいるべきだ。泣きたくなってくる。泣きたくなることも辞めたほうがいいだろう。傷ついているような感覚になってしまう。何も無いところへ行きたい、物理的ではなくてもいい、こころだけでも。こころここにあらずでいたいのに、いつだって何か感じてしまうのだ。
思考は好きだ、しかし感情はいつだって、結局、そうだろう

昨夜について思い出す。映画をたてつづけに3本観て、外が明るくなってきたのを確認してからベッドに入った。
ただそれだけの夜なのに、何か大切なことを忘れている気がする。

ベランダで死にかけている植物たちの世話をした。土をふるいにかけたり、固まった根っこをほぐしたり、新しい鉢を並べてどの子に何を着せてあげようかなんて悩んだりした。
真夏のベランダは日差しが痛い。涼しい部屋に篭城している身にはつらい作業だ。絡まった根っこは東京の地下鉄の路線図みたいだった。中途半端に枯れていたローズマリーはほとんど切り捨てた。
汗で濡れたからだが気持ち良い。シャワーを浴びて涼しい部屋で熱い珈琲を飲んだ。
そんな一日を日記に書こうと思ったけれど、たいして面白く無いので言葉を綴るには足りなくてやめた。
目に見えるもの、目に見えないもの、湯水のように使っては捨てて、失うものが多かったとしても、今日までのことを意味の無い日々だったとは言いたくない

終焉

個展「百年の記憶」にお越しいただきましたお客さま、本当に、心からありがとうございました

個展を振り返っても断片的にしか思い出せない
思い出すのは個展前の数ヶ月間、絵を描いていた苦しい夜だけで、本当に今回はつらかったとしか言えない

記憶や感情を題材に絵を描き続けるということは、過去の自堕落や恥だらけの時間、最悪な夜とか死ねなかった人生をひとつひとつ糸で縫い合わせていく作業を意識的に繰り返すということで、
泣き喚いて転がりまわって呻いて頭かきむしって、自分を傷つけながら絵を描き続ける意味はあるのだろうか、個展なんてする価値はあるのだろうかと、堂々巡りの地獄でした

個展期間、お客さまの優しさが身に沁みました
絵をみつめるみなさんの背中が切なくて、思わず抱きしめそうになることが多々ありました
絵をみていられないとすぐに出ていくひとや、逃げるように立ち去るひとも多く、しっかり傷つきました

自分と向き合いたいひと、抜け出せない過去があるひと、傷つきたいひと、悲しくなりたいひと、死ねなかったひと、死にたいひと、やさしいひと
わたしの絵をしっかり観てくれるお客さまは、そんなひとが多かったような気がします
大衆向けではないし、売れない絵だと理解しています
でも自己満足では無い、だけど誰かの為に描いてるわけでもない、絵と心中する覚悟で表現しています
みんな死ねと世界を恨む人生は終わって、いまは自分の中にある暗くて狭い世界で生きている過去のわたしを殺したいと願っているだけです
それが少しは伝わったかなと、ほんのちょっとだけ手応えを感じることができました

朗読「有限的展示行動」もお越しいただいたお客さま、ありがとうございました
すごいものを体感できたのではないでしょうか
音楽はテルミン奏者であり作曲家のTAKESHI YODA、身体表現は女優でダンサーの片山千穂、音響とライティングは齋藤工房の齋藤太樹でした
ものすごい才能と熱を持つひとたちで、負けられないと胃を痛めていましたが、この3人と共に戦ったからこそ表現できた世界だったと思います
去年の夏から壮絶なくらい取り掛かり、特にYODAさんとはお互いを苦しめ合う日々が続きました、一番長くわたしの詩・記憶と向き合ってくれて、わたしの記憶世界を作り上げるための音楽を産み出してくれました
3人の表現者をわたしの記憶に引き摺り込んで、悲痛に沈み、このままだと殺し合いになるのではないかと思ったこともありました、殺されなくて良かった

朗読当日、お客さまで満員のギャラリーは本当に夢のようでした
みなさんの絶望した顔、きれいな涙を流していたひと、ぜったいに、死んでも忘れないと思います
みなさんはどう思われたかわかりませんが、わたしたちは確実に獲得したものがあります
二度と同じことはできません、あの夜を目撃できたひとは幸運だと自信を持って言えます

個展でも朗読でも百年ぶんの記憶を全部吐き出しました
痛み分けしてくれて感謝しています

有限的展示行動で朗読をした壮絶な詩「百年の記憶」の一部が、いまのわたしを苦しめています

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すっかり空っぽになってしまって
なんにも無いところを彷徨い続けている
道なんて無い 光も無い
辿り着いたところで 待っている人なんていない

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まったくもっていまの状態で
それを暗示するかのような詩を書いてしまった
やっぱり過去の自分は嫌な奴で、大嫌いだ

もうからっぽです
なにもないです
白い、白い、なにもない、です

絵を描かないと

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