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歌舞伎町のいつもの居酒屋で
あいかわらず仕事の話で酒を飲みすぎて二日酔いだ
銀色の灰皿に溜まる一方の吸い殻を改めて見ると
これまで傷つけてきたひとたちを思い出して
我にかえり だいぶ落ち込んでしまう
基本的に酒は悲しいものだ

熱くなって喧嘩したか 最終に乗るためだったか
それはもう忘れたけれど
ひとり居酒屋を出るといつの間にか大雨で
少し驚く態度をしてみせてから
なんだか今はちょうどいいな なんて思った

そんなことはどうでもよくて
ギリギリの軒下で途方に暮れていたら
呼び込みをしていたバイトの男の子が
これどうぞ と 傘を差し出してくれた
好きだったひとと声が似ている気がして
すぐに恋をしたけれど
帰りの電車ではもう顔も忘れて
最寄駅に着いたら雨は上がっていたので
もらった傘は駅に捨てて帰った

心につっかかる仕事を終わらせたのは朝の7時半だった
かれこれ一週間 外には出ていない
もちろん買い物にも行けなかったので
冷蔵庫には調味料と賞味期限が過ぎた卵が6個
コーヒーばかり飲んで血まで土色になった気がする

人間たちが生活を始めるころ
寝る前のシャワーを浴びる
あれ、昨日はお風呂に入ったっけ なんて
湯気がかった頭で考えては消えてゆく

とにかくベッドで眠れることがうれしい
締切を落とすのがおっかなくって
ここ最近は寝心地の悪いソファーで横になってたもんな
ベッドに体を埋めて 体に空気が残らないくらいの
ため息を吐いた

目を閉じて闇に体ごと引きずり込まれそうな瞬間
仕事終わったの?なんて きみの掠れたこえが耳元で聞こえた
互いの髪の毛が擦れる音が心地いい
健全な人間たちは こんな気持ちを幸せというのだろうか

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